留守番
2026.08.07小学二年生の娘に、はじめて留守番を頼んだ日のことだ。
近所のスーパーまで、往復二十分。「誰が来ても、絶対に開けちゃだめだからね」と言い聞かせると、娘は真剣な顔でうなずいた。
買い物を済ませて玄関の鍵を開けると、娘はテレビの前に座ったまま、こちらを振り向いて言った。
「おかえりなさい」
いい子にしてたよ、誰も来なかったよ、と娘は笑う。私は安心して、買ってきたプリンを冷蔵庫にしまった。
夜、寝かしつけのとき、娘が布団の中でぽつりと言った。
「ねえ、ママ。ただいまって言わないで入ってきたの、はじめてだったね」
そうだったかな、と私は笑った。娘は笑わなかった。
「あのね、ちゃんと言ったほうがいいよ」
「どうして?」
「さっきのママは、ちゃんと『ただいま』って言ってたから」